今宵、君と月の中で。
思わず男性の方を見てしまった直後、ハッとした。
しまった、と思った時にはすでに彼と目が合っていて、次の行動までの判断に時間を要したせいで微妙な間ができた。
それでも、すぐに不自然に声を掛けられたことを思い出し、慌てて目を逸らしたけど……。
「ちょっ、君! 待ってよ!」
男性は言い終わるよりも早く、無防備な私の左腕を掴んだのだ。
「……っ!」
反射的に悲鳴を上げようとしたのに声にならなくて、掴まれた左腕から伝わって来る力に体が硬直してしまう。
驚きと恐怖が混じると、声が出ないどころか咄嗟の判断すら下せないらしい。
いつも人の輪に入ることなく物事を見てばかりだったから、自分では冷静な性格だと思っていた。
だけど……。
「怪しい者じゃないから、悲鳴はやめてもらえないかな?」
いつの間にか目の前にいた男性の手で口を抑えられていることに気づいた時、頭の中が真っ白になってしまった。
心臓が大きく跳ね上がり、危険信号のようにバクバクと鳴っている。
一瞬で脳裏を過ったのは考えたくないような恐ろしいことばかりで、その想像のせいで足が竦み、体が震えていた。
そんな私の様子に気づいたのか、男性が慌てたように私の左腕から手を離した。
しまった、と思った時にはすでに彼と目が合っていて、次の行動までの判断に時間を要したせいで微妙な間ができた。
それでも、すぐに不自然に声を掛けられたことを思い出し、慌てて目を逸らしたけど……。
「ちょっ、君! 待ってよ!」
男性は言い終わるよりも早く、無防備な私の左腕を掴んだのだ。
「……っ!」
反射的に悲鳴を上げようとしたのに声にならなくて、掴まれた左腕から伝わって来る力に体が硬直してしまう。
驚きと恐怖が混じると、声が出ないどころか咄嗟の判断すら下せないらしい。
いつも人の輪に入ることなく物事を見てばかりだったから、自分では冷静な性格だと思っていた。
だけど……。
「怪しい者じゃないから、悲鳴はやめてもらえないかな?」
いつの間にか目の前にいた男性の手で口を抑えられていることに気づいた時、頭の中が真っ白になってしまった。
心臓が大きく跳ね上がり、危険信号のようにバクバクと鳴っている。
一瞬で脳裏を過ったのは考えたくないような恐ろしいことばかりで、その想像のせいで足が竦み、体が震えていた。
そんな私の様子に気づいたのか、男性が慌てたように私の左腕から手を離した。