ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?
シゲは、あの日のことには触れない。怪我の様子は聞いてくれるけど。


いろいろとなかったことにしたいのかとも思うけれど、電話ではとにかく優しくて、純に言われたことも考えると、また少し期待してる自分がいて困る。


ほんとずるいんだよ。


『で、尚人が明後日帰るから、俺ついてって春ちゃんの様子見てこようと思うんだけど』

「尚人くんも春ちゃんに会いに行くの?」

『いや、途中まで一緒なだけ』


なんでその日にわざわざ、と疑問に思う。


『置いてかれるの嫌いなんだよ』


ふてくされたような声を聞いたらおかしくなって、スマホを持ったまましばらく笑った。


「黙って出て行かれないで良かったね」

『本当にな。最悪だな、そういうの。で、結衣も行けそう? 足まだ無理?』

「大丈夫。明日には会社行くって言ったでしょ。頼まれてたこと気になってるし。守が送ってくれるから」

『そうか。じゃ、詳しいことは明日な。でも、無理はするなよ』

「うん、明日ね」

『おやすみ』


最後はいつもこれで、切った後に眠れなくなるからやめて欲しい。

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