イビツな花火〜my story〜
「謎なヤツなんだよあいつは」



「そうそう!俺らにもわからない」



そう言った2人は静かに散る火種を真剣に見つめている。



「てかさ、今まで一回も話しに出た事ないじゃん!2年間同じクラスにいて最近仲良くなったの?」




わたしは中学卒業後
2人とは違う高校へ行ったけど、
頻繁に集まったり、連絡をとったりしていた。
その中で、2人と仲のいい人の話は聞いた事はあったけど…さっきのりゅう君の話は出た事がなかった。




「あいつ、最近転入してきたんだよ」




「転入?…へぇ〜そんな事もあるんだ」




「親の都合?だかなんだか…
家庭環境悪いらしいよ。まぁ噂だけどな」




智也の言葉を聞いてパッと浮かんだのは
あの寂しげな瞳。





「そうなんだ…。
2人と全然タイプ違うのに、仲良くなるなんて意外〜口数少ない割に、何か言ったと思えば失礼な事ばっかり…
あっ!失礼な事言うところは2人と同じか」





「なにペラペラ1人で喋ってんだよ!
花火終わってるから」




「あーー!全然楽しめなかったぁー!
もぉ〜あいつのせいだぁ〜」






「お前がペラペラ喋ってるからだろっ。
りゅうのせいにすんなよ。あいつ、帰る直前に”最後に線香花火やってあげて、少ししか出来てねぇから”って言って帰ったんだから」





胸の奥の奥の奥の方が少しだけ
ドキってしたんだ。





「優し〜い♡あんた達も見習いなさいよ」




相変わらずなわたし達は、
いつもこんなペースでわたしの早すぎる門限ギリギリまで遊んで解散した。





失恋の痛みはまだ癒えるはずなくて、
でもなぜかほんの少しだけ不思議な色の光が射した気がした。



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