サプライズ★フィナーレ
もう何も考えられず、翔に心と体を委ねていると、後ろからガタッと立ち上がる音がして、私達を呼ぶ父の緊張した声が、聞こえた。

……お父さんいたの?

全く気付かずにいた。

しかもその隣には、翔輝君と翼もいる。

やだ、見られてたよね……恥ずかしい。

私は、気まずさ感じずにはいられなかったけれど、三人は全く気にも止めていない様子。

そして緊張して強ばった表情の三人は、同じ方向を見ているから、私もその方向に目を向けると、手術室の上の赤いランプが消えていた。


私も慌てて立ち上がると、翔もすぐに立ち上がり、私の横に並びキュッと左肩を抱いてくれた。
それが何よりも心強くて嬉しくて、私も翔の背中に右手を添えるけれど、込み上げる不安から、すぐに柔かなコットンデニムシャツを、ギュッと握り締めていた。
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