青春メトロノーム

走り出そうとした私に、暁は首を振る。

「俺が会いに来たのはお前の為だから、颯太にはわざわざ知らせなくていい」

「でも、」

「照れくさいのよ。男の子は男の子のタイミングで会えばいいわ。おばさんも家の掃除に帰ろうかな」

「……暁」

「失礼します。ってあら、斎木さん」

「先生」

ポニーテールを揺らしながら、担任の美貴先生が元気よく入ってきた。
体育の先生なので普段からジャージなのだけど、今日は黒のパンツに白のブラウスだった。

「転入生の笹井くんって、斎木さんのお知り合いなの?」
「そうなんです。颯太と私と暁は幼馴染です」
「……そう。じゃあ良かったわね。じゃあ同じクラスだ。よろしくね、暁君」

先生が元気良く笑いかけると、暁は小さく会釈だけする。
そのままおばさんと先生と私と暁は校長室を後にすると、渡り廊下を通り校舎へ向かった。

「それでは、仲良くね」

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