私の王子様は、冷酷なんかじゃありません
「嫌っ、嫌っ、嫌っ……」
むくむくとわき上がる嫌な記憶は、
今でも鮮明に私の中に残っていて。
取り払おうとしてもお化けのように私から離れてはくれなかった。
あの日の光景だけではなく匂いまでもが鮮明に思い出される。
あの日……
類のお兄さんである渚さんと店で二人きりだったあの日。
その日は定休日で。
類も大将も遠くまで買い出しに行っていて、
私と渚さんの二人で店の掃除をやることになっていた。