イジワル御曹司のギャップに参ってます!
平山課長から解放された私と市ヶ谷くんは、すごすごと自席へ戻った。

「すみませんでした。朱石先輩」

市ヶ谷くんはすっかりしゅんとしてしまっている。
普段元気な分、見ているこっちが痛々しい。

仕事はまだまだだし、ちょっと短絡的なところもあるけれど、若いながらも責任感の強い良い子なのだ。
これに懲りず失敗を糧にして、大きく成長して欲しいところだ。

「大丈夫。それより、トラブル対応の方、お願いね」

間を置いて氷川が私たちの元へやってきた。
手には一枚の紙。先ほど話に出た業者のリストだ。
市ヶ谷くんはそれを受け取りながらも、顔は氷川への不信感でいっぱいだった。

「……どうして、こんなことをしてくれるんですか?」

「どうして、というと?」

「氷川さんには全く関係のないプロジェクトじゃないですか。どうして助けてくれるんですか」

「無関係という訳ではないでしょう。同じ部内のプロジェクトです」

抑揚のない声で答えた氷川が、今度は視線を私の方へ向ける。

「明日のプレゼン本番までには解決してください。不戦勝などしたくない」

それだけ言い残し私たちの元を去る氷川。


ひょっとして、そのために手を貸してくれたのだろうか。
明日のプレゼン勝負のお膳立てをするためだけに……
よっぽど私を真っ向から叩き潰したいのか。
それとも――

「――取り敢えず、市ヶ谷くん。そのリストに乗ってる業者に片っ端から連絡してみよう。私も手伝うから」

「はい!」

私たちは電話機を手に取り、しらみ潰しに連絡を取った。
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