イジワル御曹司のギャップに参ってます!
見上げるとすぐそこに彼の顔があって、思わず私は小さくなってしまった。
緊張に唇が震える。けれど、昔みたいに怖くて何も言えないわけではない。

「また、私のことを困らせたいの?」

「あなたを困らせるのは面白いけれど、今はちょっと違うかな」

流星の指が、ゆったりとした優しい仕草で私の髪をすく。
強引に押し倒された前回と違って、随分と大切にされているような気がした。まるで壊れ物を扱うときみたいに。

「単純に、あなたを口説きたいだけなんだけれど」

流星の言葉にどきりとして、思わず手のひらをぎゅっと握る。
彼の綺麗過ぎる瞳はなんだか嘘っぽくて、素直に信じて良いのか不安になる。
また何か企んでいるんじゃないだろうかと疑ってしまう。

「どうして……私なんか?」

「どうしてって……そうだな……」

向けられた疑惑の眼差しに、ふと悩む流星。が、答えはすぐに出たようだ。

「あなたは俺の憧れだから……かな」

「は?」

思わず声を裏返らせた私に、流星は「本当だよ」と笑う。

いやいや、嘘でしょう。流星に憧れられることなんてした覚えないし。
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