『ココロ彩る恋』を貴方と……
それくらい深く愛していたの…と語られた。

これから先も、彼の目に映るのは彩さんだけなの……と言われた。



「……そんなの………」


聞き終わると同時に涙が止めどなく溢れ出た。

ぎゅっと握りしめた布団の上に、ボタボタと涙が降り注いでいく。


「そんなのってないです!そんな人生は悲し過ぎる!」


誰も彼女の代わりに彼を癒すことはできないと決めつけないで。

不可能かもしれないけれど、せめて心は解きほぐしてあげたい。


少しでもいいから、光を感じさせてあげたい。

この世には悲しくて辛いことばかりじゃないんだと、彼に教えてあげたい………。



(お爺ちゃん……)


……どうしたら彼の心を彩らせてあげれる?


どうしたら彼のことを笑わせてあげれる?



(教えて。お爺ちゃん……)



幼い頃、真っ暗な闇の世界に光の筋を差すことから始めてくれた祖父。

その筋が幾つも幾つも重なって、大きな明るい光が見えてきた。



『紫音は何もしなくていいよ』

『もっと沢山我が儘を言っていい』

『いい子過ぎなくていいんだ。そのままでいいんだ』


親から見放されて育った私は、自分が一番悪い子だと思い続けてきた。

甘えられないのは自分が悪いせいだと、ずっとずっと信じてきた。


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