『ココロ彩る恋』を貴方と……
顔を上げることもできなくなってしまう。
どうにも埋まりそうにないギャップが押し寄せてきて、ぐっと泣くのを堪えた。



「紫音……」


嗄れてない声の人が名前を呼んだ。
怒られるのを覚悟の上で目を向けると、口元は大きく緩んだ。



「ごめっ……ちょっと笑わせて…くれ……」


余程我慢をしていたように笑い始める。

彼の声は部屋中に響き渡り、ちょっとどころか結構な大笑いになっている。



「兵藤さん…」


大丈夫?と言いたくなるくらいにお腹を抱え込んでいる。
怒られるどころか笑われてるなんて、何れにしても恥ずかしい限りだけど……


「……もうそれくらいでいいでしょう?」


笑いながら涙を拭く彼に声をかけた。
ハー、ハーと大きく息を吐いてた人が謝り、声を出して話し始めた。


「……最初に箱を開けて見た時……綺麗な饅頭だと思った。なのにホウ酸団子だって言うだろ。自分の考え方と大きく違ってたもんだから……堪えきれなくなって……」


またしても笑いがぶり返しそうになっている。その様子に冷ややかな視線を送り、気がついた彼が仕切り直すように咳を払った。


「……ありがとう。…嬉しいよ」


シンプルにお礼を言われた。

何処までも優しい兵藤さんに嫉妬をしながら、彼が置いていた小箱を手にする。


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