『ココロ彩る恋』を貴方と……
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沸々…と湧き上がっているのは感情……ではなくて、鍋の中のシチューだ。

雇い主宅のキッチンで、私は鍋の中を覗き込んでいた。


中身は煮れば透明になる玉ねぎと白ネギ、それから溶けて形の無くなるチーズと真っ白い身のイカ。


「これに今日は大根と豆腐のサラダを付けあわせて、ドレッシングはフレンチにして……」


ブツブツと献立を考えながら鍋の底が焦げないようにかき混ぜる。

焦げたらホワイトではなくなる。白でなくなったら、また食べてもらえないーー。



「少し弱火で煮詰めようか」


火加減を調節して、握りしめていたお玉を離す。

幸いなことに私は兵藤さんの怒りを買わずに済んだ。お陰で今もこうして料理をしていられる。


「…結局、さっきは鼻で笑われただけで終わったな……」


子供の戯言をせせら笑うように、ふっ…と笑みを見せられただけだった。

兵藤さんは私の告白には反応も見せず、目線を床に下げながら「夕食は白い物で」と言った。


「体良くあしらわれた…ってことか」


本気を本気だとは思って貰えなかったらしい。

喧嘩腰のように宣言してしまったから、その延長線みたいに捉えたのかもしれない。


「でも、怒って辞めてくれと言われないだけマシよね」


急に契約が切れたら困る。
ボーナスも何もない家政婦には、未来ってものが乏しいから。


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