すきなのに!!
あたしが首を傾げると、輝があたしの首根っこを掴んで引きずり回した。




「ひ、ひえええ!!」



「黙れ」




あたしは金髪王子の前に突き出されて、ぽいっとゴミを捨てるみたいに解放された。



あたしの扱い、雑すぎだろ。




そのまま地面に尻餅をついて、腰をさすっていると、目の前の高そうなソファーに座ってる金髪王子が動く気配がした。




ふと上を見ると、金髪王子が不思議そうな顔をしてさっきまでしていたはずのイヤホンとi Podをポケットの中にしまった。




太陽に照らされて金髪王子の茶金の髪がきらきら反射して煌めく。




胸元から覗くペンダントがゆらりと揺れて、あたしはなぜかそれから目を離せない。





「ねぇ」





綺麗な声があたしの鼓膜を震わせる。




どこかで聞いたことのある声、見たことのあるペンダント。



ーあたしはこの人に会ったことがあるのかな。





どこで?いつ?…思い出せない。





金髪王子はゆっくり屈んで、地面に座り込むあたしと視線を合わせた。




そのまま、緩く弧を描くように笑ってあたしの頬に手を伸ばした。





その笑顔、初めて会った人に見せるものじゃないよ。




優し、すぎるよ。




彼があたしに触れるまであと数センチ。




あたしの心臓は高鳴るばかりだった。


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