もう1度、あの恋を
ご飯を作って、テレビをつけながら、テーブルに並べていると、眠そうにお父さんがリビングのドアを開けた。
私のお母さんは、仕事で世界をたくさん飛び回っていて、なかなか帰ってこない。
だから、普段はお父さんと2人。
でも、寂しい、とかそんな事は思ったりしない。毎朝、お父さんの暖かい笑顔を見るだけで頑張ろうと思えるから。
「おはよう、お父さん。
もうご飯出来てる、早く食べよ」
そう言って、いつものように椅子に座り、
手を合わせて食べ始める。
「そうだ、今日で高校生活が最後になるんだな」
お父さんが、ポツリ、とそう言った。
「うん。そうだね、 いい思い出作るよ」
私はそう言うと、味噌汁をズズっと飲んだ。
ご飯を食べ終わり、片付けていると、スーツ姿に着替えたお父さんが、「代わるよ」と言って、キッチンにきた。
「あ、時間か。ごめんね、ありがとう。
今日も遅いんだよね?ご飯入れとくね。」
私は、そう言うと、歯磨きをして、鞄を取ってきて家を出る。