もう1度、あの恋を









泣き止むと、私は今の状況にハッとする。




「あ、ごめん……ありがとう」



私がそう言って、離れようとすると、澤田くんは腕の力をグッと強めた。




「え……っと、?」

「ごめん、まだ少しこうしていたい、です」



その言葉に、ドキッとしてしまう。





私は動けなくなって、行き場のない手をゆっくり握りしめたその時。







「ここはそういう所ではないのよ~?」





カーテンを開けて、怒りの笑顔を見せてる結子ちゃん。




「ほら、良くなったならどいて。いちゃつくなら普通に家でしなさい。はい、いいわよ~」





そう言う結子ちゃんの後ろからヒョイっと出てきた男の子。







「それじゃあ、奏太くんお家の人に一応連絡入れとくわよ~」



「はい」



「ほら、あんた達も元気になったら戻りなさい!じゃあすぐ戻ってくるからね」



そう言うと、先ほどと同じように保健室から出ていく結子ちゃん。



保健室には、私と澤田くんと奏太が残る。






沈黙を破ったのは、澤田くん。




「お、おー、奏太どうした?」

「……熱。」



そっか、2人は友達だもんね






< 85 / 202 >

この作品をシェア

pagetop