もう1度、あの恋を
泣き止むと、私は今の状況にハッとする。
「あ、ごめん……ありがとう」
私がそう言って、離れようとすると、澤田くんは腕の力をグッと強めた。
「え……っと、?」
「ごめん、まだ少しこうしていたい、です」
その言葉に、ドキッとしてしまう。
私は動けなくなって、行き場のない手をゆっくり握りしめたその時。
「ここはそういう所ではないのよ~?」
カーテンを開けて、怒りの笑顔を見せてる結子ちゃん。
「ほら、良くなったならどいて。いちゃつくなら普通に家でしなさい。はい、いいわよ~」
そう言う結子ちゃんの後ろからヒョイっと出てきた男の子。
「それじゃあ、奏太くんお家の人に一応連絡入れとくわよ~」
「はい」
「ほら、あんた達も元気になったら戻りなさい!じゃあすぐ戻ってくるからね」
そう言うと、先ほどと同じように保健室から出ていく結子ちゃん。
保健室には、私と澤田くんと奏太が残る。
沈黙を破ったのは、澤田くん。
「お、おー、奏太どうした?」
「……熱。」
そっか、2人は友達だもんね