花奈 ~15日生きた君へ~
6月の眠り姫へ

……しかし。
退院後の花奈は、新しい薬を飲んでも一向に良くならなかった。
それどころか6月に入ると起き上がることもできなくなった。
体が金属みたいに重いらしく、寝たきりの日々が続いた。

私と良平は花奈が心配で、学校にいる間も気が気じゃなかった。
だから放課後になると急いで学校を飛び出し、まっすぐ花奈のもとへ飛んでく日々が続いた。

そうして何日か過ぎ、土曜日になった。
学校が休みの今日も、私はもちろん花奈のもとへ向かった。
そうして花奈の家に到着すると、先に来てた良平もいた。

「花奈!大丈夫?」
「うん、今日も何とか生きてるよ」

枕元に歩み寄って問いかけると、花奈は冗談っぽくそう言って微笑む。

「必要なものとかあるか?あれば買ってくるけど」

良平は花奈にそう聞く。
前から花奈には何かあったら遠慮なく頼ってって言ってるし、実際何かあれば言ってくれる。
最近なんて寝たきりだから不便なことも多いと思う。
だから今日も何か頼み事があるんじゃないかな?って私は思ってた。
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