生き続ける意味







………。




亮樹兄ちゃんは、あたしの前髪を、そっとかきわけた。




「だからね、仕方ないんだよ。

桜は純粋に大丈夫って言いたかったんでしょ?

気休めとかじゃなくて。」





気休め…なんかじゃない。




「そんなの、当たり前…」




亮樹兄ちゃんは笑った。




「なら、いいんだよ。

それに、晴ちゃんもそのときはそう思ったかもしれないけど、ちゃんと気付いてくれるよ。

桜はただ、元気を出してほしくて言っただけだって。」






「気づいて…くれるかな?」




亮樹兄ちゃんは、微笑んでうなずいた。





「そっかぁ…それで言い合いになっちゃったのか。

でも、晴ちゃんよく聞いてたよ?桜は?って。大丈夫?って。」




えっ…


晴ちゃんが?言ってたの?




「うん、言ってた。俺が晴ちゃんと合うたびにね。

だから…大丈夫だよ。晴ちゃんは桜のこと、悪く思ってないよ。」






そう言って、頭をなでられた。



なんだか、胸の中にあった重い塊が、すっとなくなっていくみたい。


気持ちがすぅっと軽くなる。





「よかった…。」







< 635 / 737 >

この作品をシェア

pagetop