甘い恋じゃなかった。
「え、どうしようどうしようっ…と、とりあえず…救急車…っ!?」
慌てて立ち上がろうとすると、パシ、と手をつかまれ引き止められる。その手もやっぱり熱かった。
「…大丈夫だから」
「で、でも、すごい熱ですよ!?」
「大丈夫だよ、大丈夫だから、どこにも行くな。傍にいろよ…
栞里……」
うわ言のように彼は呼ぶ。
結婚式当日、
姿を消した、姉の名前を。
「…桐原さん」
ギュ、と彼の手を握る。熱い手で彼も握り返す。
私は何も言えなくて、ただ彼の傍にいた。