甘い恋じゃなかった。







「あ〜…いい試合でしたねぇ」



帰り道。桐原さんと並んで駅までの道を歩く。



「愛良ちゃん達が勝ったし!」


「別に、たかだか一回戦突破しただけだろ」


「そんなこと言って、勝った瞬間やったぞ〜!って誰よりも喜んでたじゃないですか」


「……は?そうだっけ?」



図星を突かれ、私から顔を逸らす桐原さん。



「んもう〜、照れちゃって!」


「そんなんじゃねぇよ」


「桐原さんも、意外と可愛いところあるんですね〜」



一向にこちらを見ようとしない桐原さんをニヤニヤしてからかっていると、ギロリと横目で睨まれた。



「…お前、調子乗ってるとコレ、やんねーぞ?」


そう言って私の目の前にぶら下げられたのは、桐原さん特製シェル型のマドレーヌ。今日の試合前に愛良ちゃんに渡していたものだ。



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