甘い恋じゃなかった。
♡夜中のコンビニスイーツ










ビールが一番おいしいのは最初の一口目だと思う。




「で?どうだったの?例の“ブツ”の威力は」



プハーッと生ビールを口から離し一息つくと、隣で既にジョッキを空けた莉央が顔色一つ変えずに聞いてきた。相変わらず恐ろしいスピードである。



「え?なんだよ例のブツって」


枝豆を口に放り込みながら不思議そうな顔をするのは牛奥。


今日は私と莉央と牛奥の三人で、納涼会をしようといつもの居酒屋に集まった。

まぁ、納涼会とは名ばかりで、実際はいつも通り、ただ飲んでるだけなのだけど。




「牛奥はいいの。女同士の話」


「はぁ?俺だけ仲間外れかよ?」



不服そうな牛奥。

期待で満ち溢れた瞳で私を見つめる莉央。



「いや何もないよ。
引き出しの奥深くにしまって一回も着用してないし」



「えぇ!?なんで!?勿体ない!」



ヒィィ、と悲鳴をあげる莉央。



「勿体ないって…着たって見せる人もいないし」


「いるでしょ!?桐原さん!」



「だから桐原さんとはそんなんじゃないんだって!」



「おい、何の話だよ!?」




金曜日の居酒屋は、いつも通りガヤガヤと騒がしい。




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