甘い恋じゃなかった。
♡火曜日シュークリーム










と、いうわけで彼の脅しに屈し、奇妙な同居生活がスタートして早3日。




早くも私は限界を迎えていた。





「はぁぁぁぁ〜…」




仕事中、パソコンを叩きながら深いため息をついた私を、隣の席で小顔ローラーをコロコロしていた同期の早乙女莉央が怪訝そうな顔で見る。




「どーしたのー。なんかすごい疲れた顔してるけど。目の下のクマすごいし」



「ちょっと最近よく眠れなくてさ…」



「えー何でー?彼氏もいないくせに、暇でしょ?」


全国の彼氏なしの皆さん。今すぐこの美女を袋叩きにしよう。



「彼氏いなくても色々あるし暇じゃないですから!」


強めの口調で言うと、ふーん、と今度はハンドクリームをたっぷり手に取り始めた莉央。ちなみに今は業務時間内である。



「色々って?」


「た、例えばー…急に同居人が出来るとか」


「えっ同棲!?」



莉央が嬉々とした表情でパッと顔を上げた。



なかなか大きな声量に、周りの人がパラパラとこちらを振り返る。




「明里いつのまに彼氏っ…「ちょっと声大きいから黙って!」




慌てて諌めると、莉央は声を落として、だけどキラキラと瞳を輝かせながら私を見つめた。




「彼氏できたんなら早く教えてよ、水くさいなぁもう」



「いや違うから。彼氏出来てないから」



「え!?だって今同棲って…」



「同棲じゃなくて同居!」



「同じようなもんじゃん?」



「全然違うわ!」




あぁ、なんか疲れる。




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