甘い恋じゃなかった。
……何かがおかしい。
「どうしたんだよ小鳥遊、入んねーの?」
「いや、入るけど…」
約1時間後。カフェ“ミルフィーユ”の前に着いた私たちだったが、私は大きな違和感に一瞬、入るのをためらってしまった。
だって目撃してしまったのだ。大学生くらいのキラキラオシャレ女子四人組が、ミルフィーユから楽しそうに出てくるのを!
「……!!」
そして恐る恐るドアを開けて、その違和感は更に膨れ上がった。
だって店内は席の空きがないほど大勢のお客で溢れていて、しかもそのほとんどが、若い女子…!!
「…えぇ!?」
驚愕する私に、牛奥が訝し気な視線を向ける。
初来店の牛奥には分からないだろうが、ミルフィーユはまさに隠れた名店。お客のほとんどは近くに住む主婦や店長と仲の良いオジサン達で、こんなに若い女子が超人気オシャレパティスリーのごとく詰めかけるなんて…何事!?
「あれ、明里ちゃん!いらっしゃい!」
立ちすくんでいる私を見つけた店長が、カウンターの中から駆け寄ってきた。