溶ける部屋
「だけど、今日は何月何日なんだろうな?」


トシの質問にみんなが黙り込んだ。


今日が何月何日なのか、それはわからないのだ。


自分がいつどうやってここにきたのか、全く思い出せない。


「季節はまだ夏だから、夏休み中なんじゃないか?」


そう言ったのは弘明だった。


森の中は涼しいけれど、セミの鳴き声は聞こえているし、きっとそうなんだろう。


8月17日以降の夏休みだ。


「夏休み中ってことはさ……」


トシがそう言ったとき、一番前を歩いていた健が急に立ち止まった。


狭い小道、1人が立ち止まると必然的に全員が立ち止まる事になった。


「どうしたの?」


そう聞きながら、健の横から前方を見る。


そこには小道を塞ぐように大きな沼があったのだ。


それを見た瞬間、あたしは息を飲んだ。


「深さを調べてみよう」


健がそう言い、木の枝を一本折ると沼の中へと差し込んだ。


1メートルほどある木の枝はズブズブと沼に沈んでいく。


「相当深いな」


健がそう言い、枝を引き抜いた。
< 19 / 205 >

この作品をシェア

pagetop