溶ける部屋
「サプライズ?」


トシが聞き返す。


「あぁ。俺たちよくやるんだ」


返事をしたのは弘明だった。


「誕生日とかクリスマスとか、家に呼んでおいて誰もいない。突然玄関が閉まる音が聞こえてきて怯えている所に、俺たちが出てきてクラッカーを鳴らすんだ」


「あぁ、なるほどね」


トシは頷いた。


しかし特に関心はなさそうだ。


「この建物も本当は誰かが借りてて、俺たちを集めて置いてサプラーイズ! みたいな?」


弘明が少し調子に乗ってそう言い、伶香が笑った。


あたしも少しだけ笑ったけれど、仲が良くないとできないのがサプライズだということくらい、わかっていた。


このメンバーが驚かされる理由が、ここにはないのだ。


サプライズの話もそれ以上盛り上がる事はなく、あたしたちは自分の趣味について書き終えた。


あたしは『ショッピング』。


健は『サッカー』。


弘明は『映画鑑賞』。


伶香も同じ『映画鑑賞』だ。


他にも『料理』と書かれている。


2人で共通の趣味を持っているのはいいなと、羨ましく感じる。
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