溶ける部屋
番号
それから数十分後、郁美と伶香が目を覚ましたので弘明が暗証番号を入れてみようと言う話をした。


2人とも特に反対はしない。


自分たちにできる事と言えばもうそのくらいしか思いつかない。


あたしたち5人はすぐ部屋の前まで移動をした。


数字板を見てみると5ケタの番号を入力するようになっている。


「これ、何度か間違うとロックがかかるんじゃないの?」


後ろの方で見ていて伶香がそう言った。


「そうかもしれないね」


あたしは答える。


「ロックって言っても、今日1日使えなくなるだけだろ? 明日また使えるようになるなら、それでいいじゃねぇか」


弘明が何でもない事のようにそう言った。


それはそうかもしれないけれど、ロックがかかればこの建物から出られる日が一日伸びる、と言う事かもしれないのだ。


伶香は軽く肩をすくめて黙り込んだ。
< 87 / 205 >

この作品をシェア

pagetop