チャリパイ10~産業スパイにご用心~

「それでは会長、ティーショットは会長からお願い致します」


「ウム…エライ順じゃな…ワシは飛ばすぞ~♪」


そう言って会長は、それ一本で子豚のゴルフセットが買えそうな程の、ピカピカと光り輝く高級ドライバーを手にした。


「では……」


静かに構える会長の背中越しに、四井所が子豚達に耳打ちをする。


「君達、わかってるね…会長が打ち終わったら、『ナイスショット』を忘れないように!」


「わかりました♪課長♪」


そして、会長の第一打。


シュン!



「ナイスショットォ~会長~♪」





「空振りした…」


「・・・・・」


すかさず四井所がフォローに入る。


「いやぁ♪見事な素振りですね~会長♪…それでは、本番と行きましょうか~さあ~一打目どうぞ♪」


隣では、子豚とひろきが会長に聞こえない程の小さな声で、ヒソヒソ話を始めた。


「ねぇ…会長って、もしかしてゴルフ下手なの?」


「いきなり空振りだもんね……」


その会長の一打目は、OBスレスレの林の中へ……

会長は、少し残念そうに呟く。


「ちょっとスライスしたな…」


すかさず、四井所がフォロー。


「いやあ~会長♪惜しい!急に突風が吹きさえしなければ!」


「コブちゃん……突風なんて吹いたっけ?」


「全然……」


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