memory〜紅い蝶と私の記憶〜
「…私、事故に遭って記憶がないんです」


だから私にはあなたたちのことがわからない。


だけどすごく懐かしくて。


心が、体が、あなたたちをすごく求めているのを感じる。


でもそれは感じるだけで、記憶は戻らない。


いつも突然襲う頭痛さえ、紅蝶と会ってからはぱったりと現れない。


戻らない記憶に焦りを感じながら、あなたたちのその悲しそうな辛そうな、驚いた顔に胸をざわざわさせながら。


私は胸を痛ませながら見ることしかできない。


これだけ胸が痛むのに。


あなたたちを求めているのに。


何も思い出せないっ。










ねぇ…。

あなたたちは私にとって一体…?












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