memory〜紅い蝶と私の記憶〜
はぁ…。


記憶を失う前の私ならわかったのかな?


記憶を取り戻したら…わかる?


でもそうすると〝私〟は消えちゃうの?


1人でもんもんと考えていると、目の前に美鈴ちゃんがやってきた。


「星南?しんどいっすか?」


「しんどくないよ!ちょっと考えごとしてただけ!」


「そうっすか?それならいいっすけど…」


〝昶も何か様子おかしいっすし〟


と続ける美鈴ちゃんに苦笑いになる。


高松くんがおかしいのは多分だけど、私のせいなんだろう。


いや、多分じゃなく、絶対だ。


だけどこれを美鈴ちゃんに言ったら、もっとややこしくなりそうだから、あえて黙っとく。


「それより!これ見てっす!」


ガサガサとカバンの中を漁る。


出てきたのは…ゲーム機?


「新作のゲームが出たんすよ!」


新作って…。


笑顔見る限り嬉しいんだろうけどね?


ここは学校なわけで、勉強するところなんだけど…。


見つかったら没収とか大丈夫なのかな?



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