memory〜紅い蝶と私の記憶〜
『昔は昔。今は今だよ』


高松くんの言う通り。


昔なんて関係ない。


今を生きているのは私。


この体を動かしているのも私。


悩んだり、考えたりしているのも、私…なんだ。


昔の記憶がないなんてどうでもいい。


記憶がなくても、私には家族がいて、高松くんを始めとする仲間だっている。


ほら、悩む必要なんてないじゃない。


私は私らしく今を生きていけばいいんだ。


それが今の私が、昔の私に出来る唯一の償い。


「星南…?」


私が何も言わなくなったことに心配になったのか、高松くんが顔を覗き込んでくる。


そんな高松くんに笑みを向ける。


「ありがとう。高松くんのおかげで自信が持てた」


「自信?」


「…私はずっとこのままでいいのかって思ってた」


高松くんは静かに私の言葉を待ってくれる。


それがすごく嬉しい。







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