15歳の親
中絶期間には、2種類あるのだと説明をされた。

11周目までは、耳掻きのような道具で胎児を取り出す。
22週目までは、薬で流産を促し出産とほぼ同じ形で取り出す。
そして、22週を過ぎてしまうと赤ちゃんはヒトとなる。
赤ちゃんは、ヒトとして認められるのだ。
そして、1人の人間と同じ扱いを受けるのだ。
生まれた時には、生かすようにしてもらえる。

22週目で中絶される子供は、生きる事は出来ない。
22週目で望まれた子供は、生きる事が出来る。

なんて不条理な世界なんだろうか。
みんながみんな幸せな妊娠ではないだろう。

「出来ちゃったから」「失敗した」

笑って話している人はいませんか?
中絶した事を自慢している人はいませんか?
中絶するのが、当たり前になっていませんか?
中絶は、体に傷を付けていく事なんです。
将来、子供が本当に欲しいと思った時に産めない事もある。
そんな時、愛する人にきちんと言えますか?

「中絶したから産めなくなった」

もし、妊娠したら命の重みを考えてください。
まだ遊びたいから堕ろす、と気軽に言わないで。
子供を産みたくても産めない人もたくさんいます。
大切な人とたくさん話し合ってください。
恋人だけでなく、両親とも話し合ってください。
そして、出来るなら皆が幸せになれるように。
そうなれる道を力の限り探して欲しい。


私は、とっくに堕胎できる22週目を過ぎていた。
24週目……約6ヶ月気が付かずにいた。
他人から見たらありえないというかもしれない。
事実、私もありえないと思っていたんだから。
でも、そういう人もいると分かって欲しい。

大体、5ヶ月くらいからお腹が大きくなる。
私は、そこまで気がつくほど大きくなっていない。
でも、これから大きくなるならかもしれない。

これから先を考えるとすごく怖くなった。

―――父親には、どう説明するの?
―――どうやって生きていくの?
―――学校は、辞めるの?
―――そして、無事に産めるの?
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