七つの罪と悪魔
第一章

「あぁ…憂鬱だなぁ…何か楽しい事はないの…?……アハ、アハハハハ!…」



高らかと響く笑い声に、気づく者は誰一人としていない。


『憂鬱だ…憂鬱だ…

君のお目々は綺麗だねぇ…

おいで…おいで…

どこまでも…』


静寂の中でただ一人。

あぁ、ほら。

君だよ、君。

笑って、歌って、笑ったら、後ろを見てはいけないよ…?

グチャッ。

振り向いてしまえば最後。
あなたに未来はないでしょうーー。


「アハ…アハハハハ!」


あぁ、憂鬱だなぁ。
忠告したのに…カワイソウ。


「アハ、アハハハハ!」


鳴り止まぬ笑い声は、夜の街を縫うように…遠のいていったーー





「っはい!お終い!どう?怖かった!?」


先程までの張り詰めた雰囲気はどこへ行ったのか。
話し終えた深山の明るい声で、一斉に周りが笑う。


「全然こわくねーよ!話の筋がわかんねぇ!」

「てか深山の笑い声ウケたw」


藤と宮沢がそういうと、またもやドッと騒ぎだした周りの男子たち。俺はどうもこの輪の中には入りづらい。

俺の名前は雨宮零。
別段頭がいいわけでも、スポーツが出来るでもないただの器用貧乏な男子高校生。


「なぁ、零はどうだった?怖かった!?」


突然話を振られ、とりあえず笑いの一つでも取ろうとニヤニヤしながら答えてみた。

「そうだなぁ、深山の顔がきもすぎて内容分かんなかったー」


俺がそういえば、またもや周りはドッと大爆笑の波に飲まれた。
しばらくいじけていた深山の為に、ここは雰囲気を変えようと俺は一つの遊びを思いついた。


「なぁ皆、人数いるし…コックリさんしない?」


学校の屋上、昼休み。
先程までしていた怖い話のせいか、誰かがゴクリと息を呑む音が聞こえた。









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