ぬくもり
｢司、本当はね、私も今日、別れたくないって言おうと思ってたの。｣



司の表情が驚きにかわる。



｢私には、司が必要なの。

司じゃなきゃ駄目なの。

司の手を離したくないって思ったの。｣



私は、真っ直ぐ司の目を見て言った。



｢美沙、今まで苦しめて本当にごめん。｣



私は黙って頷き、司と手を繋いだ。


あったかいぬくもりが伝わってくる。




｢ぱぱー、ままー！｣


優が少し離れたところから私達を呼び、駆け寄ってくる。



私と司は、両手を広げて、走って勢いのついた優を受け止める。



｢優、ごめん。
ごめんなぁ。｣



司は私と優を抱きしめながら、何度も何度も謝り続けた。



私は、司と優のあったかくて泣きそうになるくらい幸せなぬくもりに包まれる。


私はこのぬくもりを忘れない。



今日のこの日に、私達が本当の家族になれた事を忘れない。



今までいっぱい苦しんだ。
いっぱい泣いた。



でも、そんな苦しみから救ってくれたのは１番傷ついた優だったね。



私達夫婦を繋ぎとめてくれたのは優のたくさんの愛だったね。



優、私達の子に産まれて来てくれてありがとう。

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