ぬくもり
私の中で確実に何かが壊れていった。



私は狂ったように叫びだし部屋を飛び出す。


部屋を出てすぐに、陣痛の痛みで、その場にしゃがみ込んでしまう。


看護婦さんが何人か駆け寄り、私をベッドに連れ戻そうとする。



「いやぁー!
産みたくないの!
産みたくないんです!」


私を押さえつけ連れ戻そうとする看護婦さんに必死で抵抗する。



「井上さん、どうしたの?」



「いや、産みたくない、いや、いやぁー!」


暴れる私を看護婦さんが押さえつけ、私をベッドまで連れ戻す。


「何言ってるの、もう赤ちゃん産まれてくるのよ!
しっかりしなきゃ!」


私をたしなめ励まそうとする看護婦さん。



「いや!
産まない、産みたくないんです。

誰にも愛されない子なんて産めない!
産みたくないっ!
痛っ…」



私は陣痛の痛みで呼吸すらままならない。



「ゆっくり、ゆっくり深呼吸して。」



看護婦さんが優しく背中をさすってくれる。

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