ぬくもり
産まれたばかりの赤ちゃんは、小さくてシワシワで宇宙人みたいだった。


看護婦さんに赤ちゃんを抱かされた時は、壊してしまいそうで怖かった。



父親になった実感みたいなものはまるでなかった。



もう、夜もだいぶ遅かったので、美沙の様子を少しだけ確認してから、俺は病院をあとにする。


病院を出て、外の空気を吸い少しホッとする。



俺は怖かったんだ。

完全に壊れてしまっていた美沙の姿が…。
あの悲痛なほどの叫び声が、耳からずっと離れなかった。


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