ぬくもり
幸代とはそれ以来、よく連絡を取り合うようになった。


一緒に食事をとるようにもなった。



ただ、俺達は以前のように、体を重ねあわせる事はなかった。



俺もそれでいいと思っていた。



楽しく食事をして、時には一緒に飲みに行く。


気楽な友達のような付き合いに満足していた。


1つだけ気掛かりなのは、彼女に今そうゆう相手がいるのか。



いるなら、俺達はもう会わない方がいい。


これ以上は、彼女の幸せの邪魔はしたくない。



そう思いながらも、俺は彼女に聞く事ができずにいた。



俺から聞くのはひどく無神経なような気がしたから…。
と、いうのは言い訳かもしれない。



本当は唯一の癒される時間を失うのが怖かったのかもしれない。



弱虫で卑怯な俺は、また彼女を逃げ場にしているんだ。




本当の俺の居場所には、見向きもせずに…。

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