田舎に行こう
だれにも見られていなかったと
2人は思っていた。
だが、2人が手を振って分かれてから
駅で何食わぬ顔で合流したのを
見ていた人がいた。

弘美だった。

弘美もまた、その日は何食わぬ顔で
買出しをして家へと
帰っていた。

でも、ずっとそのことが
頭の中で消化しきれずにいた。

2人はみんなに隠れて付き合ってるんじゃ
ないのか・・・
そんな疑問が離れなかった。

『そんなはずない。
 私と隆史の間にはだれも入れない』
半ば強引にそう考えるようにしていた。

弘美もまた、この旅行で
はっきりさせたいと考えていた。
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