田舎に行こう
隆史は1度、体を離して
奈津の顔を覗きこんで目を丸くして
ほんとに?と言う顔をした。

奈津は大きくうなずくと
笑顔を見せた。

隆史はそれ以上の満面の笑みで
二カッと笑うとまたぎゅっと
奈津を抱きしめた。

いつまでもこうしていたい気持ちが
あったがそういうわけにもいかず
ダッシュで飲み物を買って
ロッジに戻ることにした。

奈津はまだ自分の気持ちが信じられない
ような気分だった。

『私が隆史を好き?ほんとに?』

でも、さっきの告白の時に
奈津と呼ばれてすごくうれしくて
ずっとその声を聞いていたくて
愛しかった。
今の自分の気持ちはそれだけだった。

帰りながら隆史にもそのことを
伝えた。
隆史は笑って
「急がないから・・ゆっくり
 奈津の気持ちを確かめて。
 俺はあせらないから・・・」
そう言ってくれた。

そしてこうも続けた。
「俺にも解決しなくちゃいけないことが
 あるから・・・
 それから、みんなに報告しよう!」
そう言った。

奈津はなんのことを言っているのか
すぐに分かった。
だから笑顔でうなずいた。

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