向日葵の天秤が傾く時
巫莵の目が、痛む頬が、そう語っている気がして。



救いの女神を軽んじた為に、破滅の悪魔が微笑んだ。


蛞拓へ裁きを下したのは、他でもない巫莵だった。



「瀑、行くぞ。」



阜紆奢は呆然としている蛞拓を引っ張って出ていった。



「お、終わった…?」


「と、とりあえず…?」



おっかなびっくり、学未と瞠屡は顔を見合わせる。



「何とかなったわね。」


「衢肖さん様々だ。」


「ですね。」



鮖と節は一大事にはならず安堵の表情を浮かべ、驛もそれに同意した。



「もう少し冷静にな。」


「すみません…」



だけど助かった。



小声でそう言う薔次の顔は珍しく疲れていて、卿焼も一気に襲ってくる疲労を全身に感じていた。



「は、はぁ、ぁ……っ…」


「衢肖さんっ。」



張り詰めていた緊張の糸が切れたのだろう。


倒れ込むように巫莵はその場にへたり込んでしまった。



「衢肖さん、よく頑張ったわ。もう…もう大丈夫よ。大丈夫、大丈夫よ。」



駆け寄った樺堀は、震える巫莵を温める様にさすりながら声をかける。


巫莵の瞳から溢れる滴を、誰一人見ないふりをして。
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