強引上司にさらわれました

◇◇◇

バスルームから出ると、課長はなんと私が作ったおつまみ系の料理に箸をつけていた。


「どれも旨いぞ」


そう言われると素直に嬉しい。


「よかったです」


パジャマに着替えた私も、さっき取り皿にとったままにしてあった生ハムとクリームチーズのバケットを口に入れた。
バケットがちょっとしっとりしてしまったけれど、これはこれで美味しい。

課長も次々と箸を伸ばして、どんどん胃袋に収めていった。

ついさっきあったことがまるで嘘のように、私たちは元の雰囲気に戻っていた。
それがきっと、課長の答えなんだろう。

私の思ったとおりだ。
自分の予測が正しかったことに、胸の片隅がなぜだか痛かった。


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