弱虫なボク~先生と生徒の距離~
フローリングの床にうつ伏せになって倒れていた母さん。


眠気が残った僕の頭は一気に覚め、慌てて母さんの傍へと駆け寄った。


「母さん!母さん!」


何度も呼びかけ、体を揺らしてみた。


「あ、亮…」


弱りきった声は、とても、か細くて、僕の耳にたどり着く前に消えてしまう。


「母さん!どうしたの?それ!」


母さんの声とは反対に、僕の声はキッチンから廊下まで響いた。


大丈夫、大丈夫、と僕の肩に手をかけ立ち上がる母さん。


「亮…朝ご飯…食べるでしょ?」


自分の事は、気にしないで良いと言うかのように母さんは、ニコっと笑って…


いつもと変わらない雰囲気で僕の朝食をテーブルに並べ始めた。
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