弱虫なボク~先生と生徒の距離~
「頑張れ…」



何も言わない僕に、どう思ったのか分からないけど、隣からそう聞こえた。


「頑張れ…後悔だけはしないで。」


肩を小刻みに揺らして、絞り出すようにそう僕に告げる高田香奈。


「頑張れって…僕には、どうしようもできない…。」


やっと、僕の口から言葉が出たと思ったら、それは、とても弱々しいもので…


その僕の言葉に、顔に当てていたハンカチを取って、僕の事を涙目で見た高田香奈は


「逃げるな!好きなら、想いを伝えなきゃ!」


思わず、ベンチの背もたれに背中をぶつけそうになるぐらい、後ろにのけぞった。


僕を見る目は、涙目で、涙がそこから流れ落ちているけど、

真っ直ぐな目をしていた。
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