弱虫なボク~先生と生徒の距離~
窓がゆっくり開けられると、


部屋の中に残っていた先生の甘い香りが外へ逃げていく。


香水の匂いが、何の種類のモノのかは香水に疎い僕には解らない。


ただ、僕を甘い蜜に集まる蜂のような気分にさせてくれる。


窓から、ふわっと風が中へ入ってくると、先生の長い黒髪は生きているみたいに可憐に踊りだす。


それを先生は、小さな手のひらで抑えながら、


ゆっくり僕達の方へと振り向き、言葉を零した。
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