【短ホラー】殺人チャンネル
「あ、見て!あの柳の木の下の石、この川で溺れて死んだ女の人の墓石なんだって!」

いつも通るくすんだ赤い橋にさしかかったとき、サキが興奮した様子で私に言った。


「あのさぁ、サキ、この間あれは大昔に事故で死んだ男の子が遊びで積み上げた石だって言ってたよね?」

「あれ?そうだっけ」

サキのとぼけた声に私は呆れてため息をついた。

サキは怪談やオカルトものに目がない。色んな話に飛びついては私を巻き込むんだ。

この夏私はいったいいくつの心霊スポットに連れていかれただろうか。

その全部で何事も起きず、サキはつまらないとぶつくさ言っていた。

心霊スポットなんてむやみに行くものじゃないと渋っていた私も、実際なにも起きなくてちょっと期待外れだったりした。

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