真愛



ドンドンドンドン

勢いよくドアを叩く音で目を覚ました。

「……うるっさ」

何も言わず鍵を開けるとすぐに雪乃が入ってきた。

「おはようっ、なーつんっっ!!」

「朝から元気ね……」

眠たい目を擦りながらあくびをする。

あー、眠たい。

眠過ぎて目が閉じかけると雪乃が激しく揺さぶってくる。

「起きて!寝たら遊べないぃぃ!!」

「頭振られすぎて気分悪くなっちゃう」

「それはだめ!ほら、着替えて出よう?」

雪乃のお尻に尻尾が見える。

寝ぼけてるのかな。

……元々犬か。

勝手に納得して準備を始める。

はやくはやく!とかいう声は無視。

寝起きでそんなに急げないって。

「準備おわった!?おわった!?」

「うん終わった〜。それでどこに」

「じゃあ行こう!すぐ行こう!」

私の言葉を遮って、手を引いて店を出る。

うきうき、って言葉が似合うくらい雪乃の機嫌は最高潮。

そんなに楽しみにしてくれてたんだね。

ちょっと嬉しくなった。

「ねぇ、なーつんって繁華街から出たことある?」

ふいにそう聞かれた。

「前までは出てたよ。学校通ってる時期。まぁ、学校と繁華街の道だけだけどね」

「そうなの?」

「うん。別に遊ぼうとも思わなかったからお店とか知らないけどね。雪乃は?」

「私もあんまりないの!ほら、よく夜は出てるでしょ?けど行くところなんて1つだからさぁ、他のとこなんて行かないの!」

そういえば雪乃も学校行ってないんだっけ。

元々行ってないとは言ってたけど。

「だからね、だからね、初めて繁華街の外に出る時は、1番の親友とって思ってたの!」

「私なんかでいいの?」

ぽろ、っと本音が漏れた。

雪乃が小首をかしげながら言った。

「何で?なーつんは私にとって初めての友達で、親友で大切な人なんだよ?」

その言葉に思わず涙が出そうになった。

こんなに温かい言葉いわれたの、いつぶりだろ。

例え私の過去を知らなくても、その言葉が胸を温かくした。




< 14 / 174 >

この作品をシェア

pagetop