距離0センチ
立花君の左手は柵を掴んでいて、そうすると自然と距離が近まった。
「……っ!」
思わず後ずさろうにも、帯があるから下がれない。
立花君の顔を見上げると、まっすぐに見つめる瞳と目が合う。
優しい顔して見つめてくる。
「紫乃先輩のそういうところ可愛いです」
「…っ意味がわからない」
「捕まえて、閉じ込めたくなります」
言っていることは穏やかではないのに、優しい笑みを浮かべるから怖くない。
むしろ甘い言葉を囁かれた気分だ。