距離0センチ
ちらっと時計を見て、時間を確認する。
「……」
______ガラッ
「紫乃先輩!」
声のする方をちらっと見る。
まあ見なくとも誰かわかる。
彼の声もいい加減覚えたし、来る時間もだいたい同じ。
「あれ?橋本先輩はいないんですか?」
「由結なら部長の所に行ったよ」
「そうなんですね」
立花君は数少ない、由結たちの関係を知っている人間だ。
周りにはあまり言わないようにしていたけど、何故か立花君にはバレていたらしい。