幸せの青い鳥
彼女との出会い
ボクは鳥である。

名前は、多呂。

生まれて間もなくお母さんと引き離されて、ガラス張りの小さな店で同じ鳥たちと暮らしてきた。
それがある日、店にきた女の子に買われて

今は、カゴの中の鳥だ。

「多呂、比呂。おいで」

そう、ボクの仲間は比呂ってゆうんだ。

ボクと一緒にこの家にやってきた、黄色くて少し体の弱いヤツなんだ。

並んで食事をしてても、比呂はボクより食べる量が少ない。


「比呂ったら、もう少し食べれば?」


そう言ってボクらを見てるのは、沢本るり子サン。ボクらの飼い主だ。

るりちゃんは優しくて、学校から帰ると毎日のようにボクたちと遊んでくれるんだ。

でも、体の弱い比呂にゴハンをたくさんあげてるし、遊ぶ時もボクと態度が違うみたい。


「いいのよ比呂、ゆっくり食べなさい。多呂は食べたら少し運動しましょうね。あんたのバアイは少し太りすぎだから」


これってものすごい差別だよね。

そりゃあボクは比呂みたいに弱くない。

健康そのもので、わんぱくだけが自慢だけど…。おなかがすくのは同じだよ。

ボクは鳥の立場で傷ついていた。


「多呂ちゃん元気ないね、どうしたの?」


るりちゃんは言った。ボク、すごく不愉快だったからるりちゃんのそばに行くのをやめたんだ。


「ねえ多呂、もしかして…ヤキモチ?」


当たり前だろ。

こういうのを何て言うのか、ボクはこの人間社会っていうトコで生まれてから知ったんだ。

人間ってとても頭のいい動物だと思うけど

そういう鳥の気持ちも、わかってほしいな、ボク。



その日ボクは、久しぶりにるりちゃんと遊んだんだ。



るりちゃんの学校でテストっていうものがあって


それでボクも比呂もしばらく遊んでもらえなかったからネ。



でも今日のるりちゃんは、ちょっと様子が変だったんで、比呂まで元気がない。



ボクたち(特にボク)はるりちゃんのことが大好きなので、とっても心配なんだ。



るりちゃんどうしたのかなって、比呂も言ってる。



こんな時、鳥であるボクはどうしてあげたらいいのかな。


「ねえ多呂ちゃん、あんたにこの気持ちがわかる?」
< 1 / 14 >

この作品をシェア

pagetop