隣の部屋と格差社会。



米の研ぎ方を知らない奴なんか本当に居るんだな。


彼女が隣に越して来た夜、彼女の段ボールだらけの部屋で、彼女の晩ご飯である米を研ぎながらそう思った。


聞けば、家にはお手伝いさんが居たらしい。

7人兄弟おまけに祖父母の11人家族で、狭い家に肩寄せ合って育った俺には想像もつかない生活環境だ。


いわゆる金持ち。お嬢様。


男慣れしてる風でもないのに、初対面でしかも男である俺の部屋に上がろうとする危機感のなさもお嬢様故なんだろうな。


すぐ寝を上げると思っていた。


しかし。


強い眼差しをした彼女は、いつだって前向きで一生懸命で。


自分の足で立とうと必死だったから。

だから、手を差し伸べずには居られなかった。


< 180 / 250 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop