隣の部屋と格差社会。


「それって、櫻木製薬に入りたかったから父にあんなことを言ったってことですか?」


言った瞬間に、佐渡さんの背中が揺れた気がした。


私、やっぱり馬鹿だ。こんな言い方するなんて。


でも。それでも。

佐渡さんの気持ちが分からない。不安で不安でたまらない。


好きなのはいつだって私ばっかりで、佐渡さんの気持ちは見えないまま。


佐渡さんは私のことどう思ってるの?


だから突然こんなことになって頭が、心がついていかない。


佐渡さんの気持ちが分からない。言ってもらわないと分からない。



「そんなわけないだろ。」



言ってしまった後悔と、返ってくる答えへの不安で泣きそうになっていたとき、佐渡さんが吐き捨てるようにそう言った。


佐渡さんがくるり、と振り返ってやっと目が合う。

目の前の佐渡さんは、焦ったような表情。

こんな顔の佐渡さんを見るのは初めて。


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