妻に、母に、そして家族になる
それからというもの、家とバイトの往復だけだった生活に変化があった。

それはバイトが終わると公園にいるハルくんとおしゃべりをすること。

最初の頃は危ないから早く帰るように言っていたのだが、ハルくんはいつもご主人様の帰りを待つ忠犬みたいに公園で待っていて、もっとそばにいてほしそうな顔をするのだ。

でも、五分でもおしゃべりをすると満足そうに帰ってくれる。

私の両親も仕事が忙しくて家にいない日があったから、一人で留守番する寂しさを知っているのもあって、次第に強く言えなくなってしまった。

本当はダメだと分かっているけど、私もハルくんとおしゃべりするのが楽しい。

それに最近は膝の上にも座ってくるようになってきて、心を開いてくれているのが嬉しくてたまらなかった。

また、おしゃべりを通してハルくんのことが薄っすらとだが見えてきた。

やはりハルくんの家は父子家庭らしい。

お父さんの仕事が忙しく、家に帰ってくる時間も遅いそうだ。
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