新月の王 Ⅰ

玲央の夜

雑居ビルの間の細い小道、そっちの方から声がする。足音を立てずにそっと気配を消して近寄って聞き耳をたてる。


「さっきよぉ青龍の下っ端ボコってきた」

「またかよ」

「五龍かなんだか知らねぇけどさぁ、下っ端はどこも弱えぇのな?ぶぶっ」

「下っ端ばっか襲ってねぇで、幹部の一人や二人ヤってこいよ」

「やだね。あいつ等仲間意識すっげーから幹部一人でもやったら恐ろしいじゃん」

「なんだそれ?なら下っ端もやんなよ」

「紫蛇の所為にしたら面白れぇじゃん」

「お前なかなか最低だな」

「そうか?」

こいつらは何者だ?紫蛇でもないし青龍でもないってことは、どこのチームだ?

「龍神とよぉ四蛇で潰しあってくれれば俺らも楽なのになぁ?そしたら白虎も一気にNo,1になれんのにねぇ」

「今の総長じゃ無理だろ」

「だから俺がやんじゃん」

「悠宇マジだったんか?」

「あったりめぇだろ」

白虎・・・No,3のチームだったような。確かに情報では総長があんま喧嘩好きじゃないし、上を目指してないって聞いたような気がする。

だから他のメンツが不満溜まってるのか・・・それって色んな意味でヤバいよね?

んでもってこいつら凄くおバカ。こんな話青龍と紫蛇の間でしてるなんてありえない。普通に殺されるよ?

しかしなんでこんなおバカ達が幹部なんだ?って事は総長がマトモなのか?
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